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お客様訪問

お客様のご紹介

No.1神戸大学 海事科学研究科 教授 武田 実 様

水素ハカセ

5月13日、オルソ・パラ水素分析計DS-502型(ジェイ・サイエンス・ラボ製)をご使用頂いております神戸大学海事科学研究科様へお邪魔致しました。

教授の武田 実先生より、研究室のご紹介をお願い致します!

〔オルソ・パラ水素分析計DS-502型〕

お客様

液体水素(沸点20 K)の国際海上輸送研究拠点の構築を目指し、国内外の大学および研究機関と協力して、液体水素の海上製造技術および海上輸送貯蔵技術に関する研究を推進しています。

これらの研究の中で、液体水素の蒸発ガスにおけるオルソ・パラ組成比の経時変化を調べるために、オルソ・パラ水素分析計DS-502型を使用しています。

この分析計は熱伝導度式を採用しているため、ある程度の暖機時間を経て、試料ガスを一定量流し続ける必要がありますが、測定精度がよい(±1% FS)という特徴があります。今後、オルソ・パラ水素変換触媒の研究開発にも役立てたいと考えています。

〔武田教授と実験チャンバー〕

〔水素実験棟〕

〔水素実験棟の前にて〕

水素ハカセ

【ご使用装置】
オルソ・パラ水素分析計DS-502型液体水素におけるp-H2(o-H2)の濃度を連続測定するための分析計。

水素は液体水素(沸点20K)の状態ではパラ水素が約100%の状態になります。

水素ガスとして安定状態になった時点で、パラ25%オルソ75%となりますが、本水素計は安定状態への過程におけるパラ(オルソ)水素の濃度測定を目的とする装置です。

No.2九州大学 高分子材料研究部門 准教授 藤原 広匡 様

水素ハカセ

九州大学水素材料先端科学研究センター様は、水素利用技術を支える研究開発の拠点として、水素社会の実現に向けた社会のニーズと課題に対応するための研究に取り組まれています。今回、弊社の水素測定システム(JTF-20Aシリーズ)をご利用いただいております、同センター高分子材料研究部門の藤原広匡准教授にお話をお伺いいたしました。
まずは研究室の概要をご紹介ください。

お客様

九州大学水素材料先端科学研究センター(HYDROGENIUS)は2006年から九大付属の研究センターとして活動を始めました。高分子材料研究部門では水素社会実現に向け、水素環境下で使用される高分子材料の設計指針を確立する為、材料の基礎研究開発から試作品・製品評価を進めています。

対象は燃料電池車車載用タンクや水素ステーションで使用されるO-Ringやガスケット等のシール材料、バルブ類の材料、高圧水素充填ホースや水素タンクのライナー材料など多岐に渡ります。

〔九州大学水素材料先端科学研究センター外観〕

水素ハカセ

その中での弊社システムのご用途を伺ってもよろしいでしょうか?

お客様

燃料電池車や水素ステーションなどで使用される材料は、常に繰り返し高圧水素に曝され、その影響で材料破壊が進み安全性が担保されない可能性が生じます。破壊の原因となる水素の影響を知る事が必要で、高分子材料の水素特性を知るために我々は2種類の手法を用いています。

1つは高圧ガスに曝した材料からの脱離ガス量を、定温・大気圧環境下でTDAを用いて測定します。これにより材料中の残存水素量の時間変化を求め、拡散方程式を用いて高圧ガス環境下での平衡ガス量と脱圧後の拡散係数を算出する手法です。もう一種は、高圧ガスを材料の片側に印加し、低圧側に透過したガス量の経時測定を行う事で、透過曲線を作製し、透過・拡散・溶解度係数を求める手法です。

当センターでは最高100MPaまでの高圧ガスに対する測定が可能であることから、実際の水素充填、保管、運送時の使用環境をモデリングした圧力での実験を行う事が出来、水素ガスは勿論、ヘリウムや窒素ガスの測定も行っています。

貴社の鋼材中水素測定システム(JTF-20Aシリーズ)は鋼材の遅れ破壊の原因である水素の挙動を知るために開発されていますが、我々は高分子材料に対する水素の影響を知るために高分子材料中に溶解したガス量・材料中のガス拡散係数、透過係数を求めるためにこのシステム (昇温脱離分析装置:TDA)を応用しています。低温から高温領域まで一定速度で連続測定出来、経時的にガスクロマトグラフィーで記録されますので、その数値を基に各係数の解析を行っています。

鋼材中水素測定システムJTF20A型 水素材料先端科学研究センター内

(公財)水素エネルギー製品研究試験センター JTF20A型(管状炉は壁向こう防爆仕様の中に設置)

水素ハカセ

稼働状況や使い勝手についてはいかがでしょうか。

お客様

昇温速度、温度範囲等が任意に変更可能で、測定システムが明解なため、本来の鋼材中水素測定プログラムを応用して、当方が目的としている測定システムを構築することが出来ています。安全性にも優れていて信頼性が有るので、現在、合計10台以上のシステムをほぼフルタイムで稼動させ測定DATAを収集しています。

水素ハカセ

今後製品に対し改善や期待する点があれば教えてください。

お客様

現在までのところほぼ満足のいく測定結果を得ていますが、今後さらに機械個別の誤差を減少させて頂きたいと思います。
また一層多種のガスの測定に対応出来るシステムの構築を期待します。

〔九大水素センター内 藤原准教授〕

お客様

【装置の概略】
非定常状態ガス(水素)量計測法[TDA法]
高圧水素曝露容器を使用し、試験体を目的の圧力(30℃)で高圧ガスに曝します。飽和状態に達したのち、高圧ガス曝露容器から取り出し昇温脱離分析装置「TDA]の炉(30℃)に静置します。高圧ガス環境下から大気圧中に取り出された試験体からはガスが脱離します。

5分間隔でガスクロマトグラフィーにより脱離ガス量を測定します。
脱離量を積分することで、各時刻における試験体中に残存したガス量を求める事が出来ます。しかし、曝露容器から取り出しTDAで測定開始するまでに一部のガスが脱離してしまうため、高圧ガス環境下でのガス量を測定する事は出来ません。そこで、残存水素量を拡散方程式を用いてフィッティングすることで時刻ゼロ(つまり、高圧ガス環境下)の試験体中に侵入したガス量と拡散係数を算出します。

非定常水素量計測法(TDA法)

お客様

定常状態ガス(水素)[高圧ガス透過試験法]
高圧ガス印可システムと高圧透過試験ホルダーを使用し、高圧ガスを試験体片側に目的の試験圧力(100MPa以下)を瞬時に印加します。
時間の経過と共に試験体の反対側に透過したガスを炉の無いTDAシステムで計測する事で透過曲線を得ます。得られた透過曲線と試験体の厚み・透過面積・遅れ時間を基に、透過係数・拡散係数・溶解度係数を得ます。また、試験体密度から侵入したガス量を算出します。

定常水素量計測法(高圧ガス透過試験法)

【参考文献:無料ダウンロード可能】
H. Fujiwara, H. Ono, K. Onoue and S. Nishimura IJHE 45, 29082 (2020).
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0360319920328421
H. Fujiwara, H. Ono, K. Ohyama, M. Kasai, F. Kaneko and S. Nishimura IJHE 46, 11832 (2021).
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0360319921000161

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